富士山のように気高い男。
強運の星を握った日本一の大親分
背負い富士 山本一力 文春文庫 や29-9 ¥700円
時代を駆け抜けた風雲児、清水の次郎長
じ=清水の次郎長、い=森の石松
じ「おめえ、歳は幾つだ!?」
い「十一。おっちゃんは?」
じ「なんだ、おっちゃんだと」
次郎長の顔つきが歪んだ。が石松は一向にきにせず、問いを重ねた。
じ「二十四だ」
い「歳よりは、ずっと大人に見えるね」
じ「おめりょりは大人だが、まだおっちゃんじゃねえぜ」
い「分かった」
姿勢を正した石松は、ぺこりと頭をさげた。
い「助けてくれて、ありがとう」
(本文より)
これまで何度も小説や映画の題材になった「清水の次郎長」に、
“義理と人情”の山本一力が新たな命を吹き込んだ傑作。
実の両親と別れ、養子に出された少年・長五郎は、激動の幕末に
己の才覚と運で人生を切り開いていく。
命がけで次郎長に従う森の石松や、大政、小政ら、おなじみの次郎長一家も大活躍。
◆解説・田口英爾
背負い富士
喧嘩、博打、女遊び……森の石松、大政、小政ら次郎長一家オールキャストで臨む待望の
“山本一力版・清水の次郎長”。NHKドラマ放映済み!
《新書版》
背負い富士 山本一力 文藝春秋
これまで何度も小説や映画の題材になった清水の次郎長にあえて挑み、
時代小説の新しいヒーローを生み出したのが本作です。
実の両親と別れ、養子に出された幼子が、激動の幕末に己の才覚と運で人生を切り開いていく。
命がけで親分についていく森の石松をはじめ、大政、小政ら、次郎長一家オールキャストで
次郎長の半生をダイナミックに描いています。
中村雅俊さん主演で、NHKの木曜時代劇に登場。活字と映像とを読み比べてみてください。